前回はフッ素の素晴らしい効果についてお話ししました。
なんだっけって人はこちら
フッ素って歯にいいの?①
今回はフッ素の安全性について
まずは結論から
・フッ素を取りすぎると中毒症状(吐き気や腹痛など)、歯のフッ素症が現れます。
・フッ素を普通に使用している分には全く問題はありません。
フッ素の急性中毒量(吐き気や腹痛などを起こす量)は、
体重1Kg当たり2mgといわれています。
体重10kgの子供の場合、急性中毒量は
2mg×10=20mgとなります。
これがどういった量か考えてみましょう。
フッ素の濃度はppmという単位で表記されることがほとんどです。
ppmとは
100万分のいくらであるかという割合を示す単位。
主に濃度を表すために用いられます。
10000ppmでやっと1%
つまり
1000ppmは0.1%
なぜ1000ppmで表示しなおしたかというと、
歯磨き粉は薬事法で上限が1000ppmと決まっています。
大人の歯磨き粉はだいたい
各会社とも上限を超えないよう950ppm配合と口を揃えて言っています。
小さい子には100ppmくらいの製品からあります。
つまり0.01%です
うちの娘が使っていたピジョンさんの製品は100ppmでした。
「親子で乳歯ケア ジェル状歯みがき」/100ppm 40ml
(生後6ヵ月頃からメーカー推奨)
話がすこしそれましたが、
体重10kgの子供が
100ppmの製品を
どれだけの量を誤って飲んでしまうと急性中毒になるかというと
100ppmは0.01%
20mgで急性中毒の可能性があるということでした
1g=1000mgなので
20÷0.01÷100=200000mg=200g
単純計算で体重10kgの子供が100ppmの製品を
200g一気飲みすると急性中毒になるということです。
上記の製品が40gくらいだとしたら
(実際はmlの表記で販売されているので何gかはわかりませんでした)
5本くらい一気にのまないと急性中毒にはなりません。
まず5本も家にストックがある人がいないでしょう。
というか、一本購入したら家の娘は毎日使っても
2歳くらいまでもちました。
ホントに少量歯ブラシの先につけた程度で使ってました。
次はより虫歯予防効果が結構期待できるとされる
500ppm以上の製品
「親子で乳歯ケア ジェル状歯みがき ぷちキッズ」/500ppm 50g入
(1歳6ヵ月頃からメーカー推奨)
同じように計算すると体重10kgの子供で
20÷0.05÷100=40000mg=40g
上記の製品を8割がた一気に飲むと
急性中毒になる可能性があります。
これも意図的でない限りまずありえないでしょう。
最も誤って飲みやすいフッ化物洗口剤(うがいに使うやつ)に含まれる
フッ素の量は
毎日行うタイプのもので約1.6mg、
週1回行うタイプの濃度の濃いもので約6.3mgです。
参考までに
市販のフッ素入り歯磨き粉のフッ素濃度は
濃いタイプの洗口剤と同等です。
上記のように
普段歯ブラシにつけたり、うがいする程度では問題ありません。
さらに
アメリカの環境庁では、一日に摂取してよいフッ素の量を
体重1kgあたり0.06mgとしています。
常識的に考えて乳幼児の一回の歯磨き剤の量は
10~30mg
フッ素の量に換算すると
大人が使う1000ppmのものでも
0.01mg~0.03mg
100ppmなら
0.001mg~0.003mg
5kgの乳幼児で100ppm使用の場合
1日に100~300回歯磨きをして
歯磨きのたびに全部呑み込むと上限に達します。
他の食品などからの摂取を除いて単純に計算したものですが、
それでもかなりの余裕があることが伝わったでしょうか。
どんな薬もそうですが、適量では効果があり
過剰摂取では害となります。
次は
歯のフッ素症
水道水にもともと含まれるフッ素や、
歯磨き粉の飲み込みなどによるフッ化物の過剰摂取により、
歯に褐色の斑点や染みができる症状をいいます。
それもほとんどは歯に多少白い斑が出来る程度のもので、
歯や骨の形成不全を起こすような
重度のフッ素中毒症状が出ることはほとんど考えられません。
(そもそも、日々フッ素洗口剤を過剰摂取すること自体困難ですが・・)
フッ素の有効性・安全性はWHOをはじめ、
世界各国の医学専門機関が認めています。
このようにフッ素には副作用があります。
しかし、普通に使用していれば安全性に全く問題はありません。
外国では水道水にフッ素を意図的に入れて、
非常に高い虫歯予防効果を出している国もあります。
フッ素には副作用があること以上に、
虫歯の予防効果は素晴らしいものです。
ぜひフッ素を有効活用して下さい。
追記
もし誤ってフッ素を多量に呑み込んでしまったら、
牛乳を飲んでください。
牛乳に含まれるカルシウムと体内のフッ素が結合して
「フッ化カルシウム」という無毒の物質になることで
フッ素中毒を防ぐことができます。
そして病院へ、、
By 東京都府中市の歯医者 京王線府中駅徒歩5分 クルミ歯科