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¨被せ物¨はどれだけ持ちますか?を少し踏み込んで考える②ー骨ー

それでは、まず歯を支えている¨骨¨について考えてみましょう。

よく、歯は歯茎で支えられていると思っている方がいますが、歯は骨で支えられています!

その上に歯茎はちょっと乗っているだけなのです。

 

 

 

大前提として、歯は歯茎ではなく骨で支えられています。

家で例えるなら、基礎の部分、ここがダメだと建物ごと倒壊します。

骨が無くなる一番の原因は¨歯周病¨。それに¨力¨。

歯周病は皆さん聞いたことがあると思います。主に歯茎の病気というイメージなのではないでしょうか?

そして、後の項目にも出てきますが、皆さんに馴染みのない、この¨力¨の問題というのが歯医者を一番困らせる要素なのです。

¨力¨はこれから説明するすべての項目に関わってきます。

力といっても、普段のお食事というよりは、食いしばりや歯ぎしりなど、物を間に挟んでいない状態の持続的な圧がトラブルを多く引き起こします。

 

それでは、歯周病と力について、考えてみましょう。

 

 

  • 歯周病

 

歯茎の病気のイメージが強いと思いますが、歯を支えている骨も溶けてしまう病気です。

一度溶けてなくなった骨は、一部のケースを除いて、骨を増やすことは困難です。

基本的には、歯周病治療とは、治療と予防がセットみたいなもので、一通りの処置が終わったら、その状態を維持することが目標となります。

つまり、被せ物に関して言えば、元々すごく骨がしっかりしているケースと、元々骨の吸収が大きかったケースでは、全く歯の寿命が全く違います。併せて、歯周病に対する日々のお手入れの影響も、歯周病は大きく影響します。

 

 

 

実は力と歯周病は相性が悪く、歯周病の進行を助長する因子として考えられています。また建物で例えると、緩い地盤に建てた家にグイグイ力をかけ続けたら、家が傾きそうな気がしませんか?

また、夜間の食いしばりや歯ぎしりの圧が、かかり続けた場合、人の体の防御反応として歯をグラグラにして力をやり過ごそうとします。それによって歯がグラグラになってしまいます。この場合はかみ合わせを調整して力を逃がせば、骨が幾分しっかりしてくる場合もありますが、もうグラグラでどうしようもないと、やっぱり抜歯になるケースもあります。

 

つまり、最もたいせつなのがこの歯を支えている骨の部分なのです。

ここが、ダメになるとどんなに健康な天然の歯でも抜歯になります。

 

次回は骨に埋まっている歯の根っこの部分を見ていきましょう!

 

 

by 東京都府中市の歯医者 京王線府中駅徒歩5分 クルミ歯科

 

 

¨被せ物¨はどれだけ持ちますか?を少し踏み込んで考える①ー序章ー

よく患者さんからされる質問があります。

「この被せ物はどれだけ持ちますか?」

「自費の被せものにしたらずっと使えますか?」

当然気になる点だと思いますが、これについて完璧に解答できる医師はいないと思います。

もちろん、明らかに無理なもの、すごく状態がいいものは別ですが、多くはその中間で、様々な原因や問題があり修復している場合がほとんどです。

もちろん、お手入れの状況も大きく関係しますが、お手入れ云々ではなく、個人の努力ではどうにもできない要素もあります。

今回は、すこしでもそういった要素を理解する手助けになればと思い記事にしました。

 

 

いきなり結論から

 

 

結論

 

もちろん自費の被せ物のほうが持つ可能性は状況により上がるが、自費の被せ物にして差が出る部分は全体の要素の一部。その他の要因のほうが大きく、結局はその人の口腔内環境、被せる歯や周りの組織の状況次第。

→歯の寿命そのもので考えたほうがいい。

 

その理由を少しずつ、ひも解いてみましょう。

 

まず、

『そんなこと言っても平均年数とかネットにでてますよね?』

という方がいるかもしれません。

が、その歯が平均通りにいくことはほとんどありません。

 

もちろん、平均を出した方は皆さんの役に立つように、データを集めて集計しているはずです。

 

しかし、平均には上もあれば下もあり、その事柄が複雑であればあるほど平均に当てはめて考えることが難しくなります。

平均はとても有用な面もありますが、「ばらつき」を見えにくくする側面もあります。

そして、この『被せ物はどれだけ持ちますか?』はまさに¨事柄が複雑でばらつきがある¨に該当します。

 

よくあるのが、¨被せ物自体¨がどれだけ持つかを議論しているケースです。

これも一要素ですが、そもそも歯自体がダメになったら被せ物がどうとかいう話ではありません。

 

言い換えると、被せ物がどれだけ持っても、歯を抜いたり、被せ物を外して治療しないといけない状況になれば、被せ物は口の中から撤去されることになります。

 

それではその状況を系統立てて見ていきましょう。

 

大きく考えることは4つ

 

  • 歯を支える骨
  • 歯の根
  • 歯の土台
  • 被せ物(詰物)

 

次回以降これら一つ一つの項目についてみていきましょう。

 

by 東京都府中市の歯医者 京王線府中駅徒歩5分 クルミ歯科

法人化のお知らせ

ご報告が遅くなりました。

クルミ歯科は平成31年4月より法人化いたしました。
法人名は「医療法人社団 胡桃 クルミ歯科」です。
今後も地域のみなさまのお口の健康管理に少しでも貢献できるよう精進してまいりますので、何卒よろしくお願い致します。

/ 診療日について

GWの診療について

4/27(土)まで通常営業。

5/1(水)急患対応日 9時~13時

5/2(木)急患対応日 9時~13時

5/7(火)より通常営業。

 

上記以外の日程で、お困りの際は府中市の休日診療をご利用ください。

ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

マイクロスコープとは ー治療に対する姿勢の表れー

 

 

クルミ歯科には、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)という機器があります。

2018年現在、日本での普及率(台数)は、業者さんによると10%くらい。

大学病院や、大型医院など一つの医院で複数台あるところもあるので、1軒あたりにするともう少し低いかもしれません。

大雑把に歯医者さん10軒に1軒持っているところがある計算です。

クルミ歯科の院長は、この機器が人生のなかで最も買ってよかったものの一つだと思っています。

症例によっては保険診療でもマイクロスコープを使用して診療を行うことがあります。請求額は変わりません。保険診療では一部の根の治療を除き、マイクロスコープの使用に点数がつきません。

 

マイクロスコープという¨機器¨を使うメリットは、今では検索すれば簡単に見つけることが可能なので細かくは割愛させていただきます。

簡単に言うと、肉眼では見えないところまで、大きく見える虫メガネです。

では、マイクロスコープを使用しよう、または使用しているクリニックはどんな考えで診療を行っているのでしょうか。

 

マイクロスコープを使用している先生方と接していて、概ね共通しているのが

 

1.少しでも、治せないものを治したい。原因を究明したい

2.少しでも、きれいな再発が少ない処置がしたい

3.一度マイクロスコープで見える世界を知ってしまうと使わずにはいられない

 

上記の3点の思いが¨強め¨なのかなと思います。

 

極論をいうと、マイクロスコープがなくても、日本の歯科治療は従来のレベル(これが賛否両論なのですが)であればおおよそ機能してきました。

誤解を恐れずに言えば、医者は病気を見れば、なんでもわかってしまうと思いがちですが、そうではありません。

お医者さんは、患者さんから得た、様々な情報を、先人の研究や臨床に応用した結果などと照らし合わせ、最も確率が高いものを導きだす作業をしています。それが診断となり、診断の元、治療方法が決定されます。

つまり、状況により100%のものもあれば、こっちかこっちだろうという診断もあります。

しかし、マイクロスコープの登場により、今まで盲目的に処置をして、原因を¨推測¨していたものが、肉眼で¨確認¨できる症例が増えてきました。これにCT(三次元でわかるレントゲン写真)を合わせることで飛躍的に診断能力は向上しました。

今ではもう、マイクロスコープとCTがない診療には戻れません。

 

マイクロスコープを使用すると、まず、全ての処置において目に飛び込んでくる情報量が違います。特に歯の根の中などは、従来、目で見えないため、ほとんど視覚以外の情報を頼りに治療してきました。歯の根の中はかなり複雑な形をしています。マイクロスコープの使用により視覚で感染している部分や、その他の原因もかなりわかるようになりました。肉眼とマイクロスコープでは雲泥の差があります。

 

『そんなにいいものなら、みんな使えばいいじゃん!』

と思うところですが、導入するにはなかなかのハードルがあります。

 

・実際、マイクロスコープという機器はトップメーカーのものなら高級外車がポンと買えてしまうくらいの価格です。(2大メーカーはcarl zeissとLeica と言われています。クルミ歯科はcarl zeiss!)

 

・また、マイクロスクープを使った診療は時間がかかります。

1日に診れる患者さんの数は減ってしまいます。

 

・さらに、マイクロスコープ自体は直接的には医業収入を増やすものではありません。処置に対しては対価がありますが、マイクロスコープへの理解が乏しい中、機器の使用で対価を求めるのは難しいところがあります。

 

・そして保険診療に関してはマイクロスコープを使おうが使うまいが、保険点数は変わりません。(最近、根の治療の一部にわずかな点数がつきました。保険で請求するには国への届け出など色々条件があります。実際は保険診療中にマイクロスコープで覗いても、ほとんどの医院で請求をしていないのが現状だと思われます。または、マイクロスコープの使用は自由診療にしているところが多いです。)

※ちなみにアメリカの根の治療の専門医はマイクロスコープがないと診療ができません。

※2020/4/1より奥歯(大臼歯)であればマイクロスコープの使用が保険でカバーされるようになりました。

 

・極めつけは、マイクロスコープについての説明や画像、動画がなければ、マイクロスコープを使った診療と使っていない診療の違いを患者さんが実感しづらい。というよりほとんどわからない。なんなら、時間がかかるなーと思うかもしれません。。

 

それでも、マイクロスコープを使って、肉眼では判別できないところまで精度を求めて処置をするということは、そのクリニックの¨姿勢¨なのかなと思います。

 

そして、一度マイクロスコープの世界を知ってしまうと、マイクロスコープを使用していないときでも、細かいところが気になってしまいます(笑)

 

結果、診療は丁寧になりますが、時間がかかります……。

 

ほとんど私見で大変恐縮ですが、皆さんになじみがない機器、マイクロスコープがあると、患者さんが享受できるメリットが増え、ドクターも歯科治療が確かなものになっていくというお話でした。

 

 

by 東京都府中市の歯医者 京王線府中駅徒歩5分 クルミ歯科