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治療計画の中の1治療

インプラントがうまくいくのは前提条件?

よく、インプラントだけが、テレビやニュースでもてはやされますが、
インプラントという手法は、全体の治療計画の中の一つでしかありません。

インプラントの手術自体を多く行った先生はたくさんいますが、
単純に歯が抜けたらインプラント』では名医と呼ばれることはありません。

治療の効果を引き出すには、歯周病、かみ合わせ、力のバランス、
被せものなど様々な知識が必要になります。手技が成功するのは前提条件とも言えます。

それよりも、全体の治療計画の中でなぜそこにインプラントがあったほうがいい状況になるのか、
他の治療と合わせてやったほうが全体の安定は得られるのではないか、患者さんの現状にあわせて、
現実的にどこまで実行可能か、など、もっと重要な要素がたくさんあります。

当然、『安全、安心、確実』な手技は必要です。

それに付け加えて、メインテナンスも含めた、しっかりした治療計画があれば、結果としてインプラントも、
お口全体の健康も長持ちすることになるわけです。

インプラントの失敗とは?

1.手術はしたが、脱落した。(痛みがひかない、麻痺が出て引かない)
2.インプラントは一度くっついたが脱落した。
3.インプラントは一時期機能したがダメになった。

およそ上記の3つが考えられます。それぞれの原因を考えていみましょう。

1.手技、術前の患者様の健康状態(糖尿病などの全身疾患、術前診査、骨の残存量、歯周病の傾向など)
2.インプラントがしっかり骨とくっつく前に力をかけすぎた、手術後感染してインプラントが脱落した。
3.口腔内の力のバランスの不均衡(設計ミス、歯ぎしり、食いしばり)、術後のセルフケア、メインテナンスの不足。
おおよそ上記の原因が考えられます。

つまり、インプラントの手技がうまいだけでは『長期安定』は見込めません。

インプラントの埋入には2つのパターンが考えられます。

1.ただインプラントを依頼された(患者が希望した)から
2.総合診断をするドクターの元、そこにインプラントが必要だから。

どちらが本質でしょうか?当然2ですよね。

現在のインプラントの手技は、確かな知識と『医は仁術の心』があり、それなりの経験があれば、
手術直後に脱落することはほとんどありません。

もちろん骨がほとんどなく特別な手技が必要な場合などの稀なケースでは、
数多く難症例に携わったインプラント専門家のスキルが必要になることもあります。

しかし、良識のあるドクターはそのようなケースではインプラントを勧めず、他の治療方法を提案するでしょう。

もし、どうしてもそこにインプラントが欲しいという状況であれば、難症例を数多く経験しているドクターに依頼することになります。

もちろんインプラントが骨とくっつくことは大前提ですが、それに加えて大切なものは

総合的な治療計画、言い換えると術後も考えた全体の設計とメインテナンス

であることは間違いありません。

インプラントの手技を確実にするためには?

そうは言ってもまずはインプラント手術が確実でなくてはいけません。
それでは、インプラントの手技を確実にするには何が必要でしょうか?

要点を3つ上げると
1.診断2.材料3.手技

1.診断
患者さんの健康状態。お口の清掃性。残っている歯、歯を支えている骨の状況。インプラント予定部位の骨の状態などです。
レントゲン、CT、を含めた総合診断が必要です。
2.材料
インプラントは数多くのメーカーがあります。
クルミ歯科では世界トップメーカーの一つStrauman(ストローマン)社のインプラントを使用しています。
3.手技
もちろん、切開や縫合骨へのドリリングなどは丁寧な手技が要求されます。
それに加えて、治療計画どおりの手技を行うには『個人の医師の勘に頼らない、計画を計画通り実行する手技』が求められます。
そのために、インプラントの埋入位置がシビアなケースではコンピュータガイドによる手術を行っています。

簡単に説明すると、

1.CT撮影後
2.パソコン上で埋入位置を計画し
3.それを再現できるガイドを医療用3Dプリンターで作成
4.それをガイドとして実際の手技で使用します

院長が実際に行った症例で見てみましょう。

  • 現状に対する
    インプラント埋入
    予定位置
  • 最後の歯の
    被せものを
    入れたイメージ
  • 骨に対する
    インプラント
    埋入計画

下顎に3本インプラントを埋入しました。
左下1本は抜歯予定です。
他も骨の吸収が大きいケースでした。

当初歯周病が全体的に進行し、歯周病についてあまり考えたことがないとおっしゃっていた患者様でしたが、
衛生士の指導の下、歯周病を理解され、ご自身でしっかりケアしていただけるようになりました。
また矯正治療は行わなかったため、上顎としっかり咬み合う被せものが作れる位置にインプラントを埋入し、
かつ、 比較的骨が残存していて最初の固定が得られる位置に計画しました。骨が足りない部分は人工骨で補ってあります。

下顎の神経との距離も近くシビアなケースでしたが、術前にシュミレーションすることができ、
予定通りの位置にインプラントを埋入することができました。

術前には全体の治療計画を立てていたため、インプラントを埋入し、インプラントが骨としっかりくっつくのを待つ間に、
他の歯を治療し最後に全体のかみ合わせを整えました。

今回のケースはCTとシュミレーションで手術可能なケースでしたが、この方法といえど万能ではありません。
稀に、インプラントは不可能と判断したケースではインプラントではない治療方法を提案させていただくこともあります。

インプラントは、しっかり計画され骨としっかりくっつけば、唯一ご自身の歯に近い状態を回復する治療です。
上下顎の力のバランスを整えるには最も効果が高い有効な治療ですが、あくまで治療計画の一部です。

クルミ歯科のドクタースタッフと一緒に、貴方に合った治療計画を立てていきましょう。